医学部の教授選は、ごく少数の医師しか経験できないとても貴重なイベントです。
教授になるためには、論文の実績や手術の実績など、あらゆる功績を残す必要があります。
では、医学部の教授になるためには、どのような基準があるのでしょうか。
結論からいうと、発表した論文数や、論文を掲載する雑誌の種類など、教授になるためには基準があります。
そこで、本記事では医学部教授になるために必要な論文数や、インパクトファクターについて調べました。
医学部教授になるのはこれだけ大変!
医学部教授になるためには?概要4つを解説!
医学部の教授になるために、以下4つについて知っておく必要があります。
- 医学部教授になるためには臨床能力は必要ない
- 医学部教授になるためには論文数が大切
- 医学部教授になるためには論文の被引用数も大切
- 医学部教授になるための条件は大学によって異なる
医学部教授になるためには臨床能力は必要ない
医学部の教授になるために、臨床能力は必要ありません。
とにかく、研究能力や論文数が大切となります。
患者にとって、良い医師であるかどうかを数値化するのは困難。
なぜなら、人によってその基準は異なりますし、客観的に評価すること自体が難しいからです。
そのため、教授になるのにふさわしい医師であるかどうかを見極めるために、論文という具体的な基準が必要となります。
もちろん人間性も重要な選考基準とはなりますが、やはり論文が最重要項目であるのは間違いありません。
医学部教授になるためには論文数が大切
医学部の教授になるためには、論文数が重要となります。
もちろんがむしゃらに出すのではなく、意味のある論文を価値ある雑誌に掲載することが大切です。
そこで重要となるのが、インパクトファクター。
インパクトファクターとは、論文の持つ相対的な影響力の事を指します。
端的に説明すると、一年以内にその論文がどれだけ引用されたか、その回数を平均した数値のことです。
例えば、インパクトファクターが1の雑誌に論文が10本掲載された場合と、インパクトファクターが10の雑誌に論文が5本掲載された場合。
圧倒的に、後者の方が選考において有利となります。
このことから、論文数も大切ではありますが、インパクトファクターも選考における重要項目であることが分かります。
医学部教授になるためには論文の被引用数も大切
医学部の教授になるためには、論文がどれぐらい引用されたかも重要となります。
例え価値のある雑誌に掲載できたとしても、被引用数が少ないと、影響力がないとみなされてしまいます。
他の論文でも沢山引用されればされるほど、それだけ意味のある研究である証拠になります。
しかし、自分の論文で引用する場合もカウントされますので、絶対的な指標、というわけではありません。
医学部教授になるための条件は大学によって異なる
医学部の教授になるための条件は、大学によって異なります。
たとえば、日本有数の大学である東京大学。
東京大学ともなると、必要なインパクトファクターの総数は少なくとも20以上は必要でしょう。
しかし、私立大学である東京女子医科大学の場合。
15本の論文のインパクトファクターの合計が、15以上であることを条件に教授の公募がされていたこともありました。
この通り、大学によって教授選の条件は異なります。
地方大学や私立大学の場合、東京大学などの名門校より業績が求められないことも分かりますね。
しかしながら、医学部教授は最難関中の難関です。
いくら求められるインパクトファクターが低くとも、簡単に目指せられるものではないでしょう。
論文を出すときは、被引用数とインパクトファクターがとても大切!
医学部教授になるには論文120本は必要!そのためのキャリアパスをシミュレーション!
医学部の教授になるためには、論文数が120本程度あると安心できます。
では、医学部を卒業してからどのようなキャリアを積めば、120本の論文が執筆可能なのでしょうか。
教授選に出てくる医師達は大体が45〜55歳です。
大体平均して、卒業から25年かけて教授になると仮定します。
医学部卒業後、最短で教授になると考えた場合、どのように論文を執筆するべきなのか、簡単に年別を付けて解説していきます。
- 医学部卒業後1~10年
- 医学部卒業後11~20年
- 医学部卒業後21~25年
医学部卒業後1~10年:論文数は少ないが、多くて10本ほど執筆
医学部を卒業してまだ5年目程度の場合、研修医ですので研究を行っている人は少ないはずです。
しかし6年目以降は、学位を取得して数年経ち始めたころですので、研究論文もいくつか執筆しているでしょう。
医学部卒業から大体10年は経っていますし、筆頭論文も10本程度、共著でも10本程度あると順調だと言えますね。
医学部卒業後11~20年:筆頭論文20本ほど執筆
学位取得後、助教授になったと仮定します。
その場合、学生に指導もしているため、共著論文は増えていくでしょう。
また、筆頭論文も徐々に増えていくはずです。
この時期になると、卒業後すぐに執筆した論文も引用される回数が増えているはずなので、被引用数が高くなっていると予想します。
医学部卒業後21~25年:論文総数120本ほど。教授選に立候補できる!
共同研究も増え、共著論文、筆頭論文ともに増えてきていると仮定します。
1年に1本の筆頭論文を執筆できたとすると、卒業後は30本ほどの筆頭論文が完成していることになります。
また、共著論文が1年に3本完成したと考えると、90本完成。
筆頭論文、共著論文合わせて120本ほどの論文が執筆できていれば、充分な業績があると考えてもいいかもしれませんね。
医学部教授になるためにはインパクトファクターが最低でも20は必要!
医学部教授になるためには、インパクトファクターが20以上あるジャーナルへ論文を掲載しましょう。
世の中には、ジャーナルの種類が豊富にあります。
有名なジャーナルやあまりしられていないジャーナルまで、さまざまです。
ここでは、ジャーナルごとによるインパクトファクターの違いをまとめました。
主に、有名なトップジャーナル、インパクトファクター10以上のジャーナルにわけて、ご紹介します。
<有名トップジャーナル>
NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE | 91.3 |
LANCET | 79.3 |
Nature Reviews Disease Primers | 52.3 |
Cell | 41.6 |
BMJ-British Medical Journal | 39.9 |
権威ある最も有名なジャーナルに掲載されると、上記の通りとなります。
研究界でも有数のジャーナルですので、インパクトファクターの値も非常に高いです。
しかし、トップの研究者のみが掲載できるジャーナルなので、全員が掲載できるわけではありません。
次に、インパクトファクターが10以上のジャーナルについてまとめました。
<インパクトファクター10以上のジャーナル>
Cell Discovery | 10.1 |
Cell Research | 25.1 |
Immunity | 22.5 |
Molecular psychiatry | 16.0 |
トップジャーナルであったNature系列や、Cell系列のジャーナルが上記の通りのインパクトファクターを持っています。
上記以外のジャーナルは、基本的にインパクトファクターが1桁台です。
学生の頃や最初の頃は良いとは思いますが、教授になることを考えるのであれば、インパクトファクターが低いのは致命的です。
医学部教授になるためには、最低でもインパクトファクター20以上は必要であり、トップジャーナルに掲載されればそれだけで最大の功績となります。
掲載するのであれば、インパクトファクターが高いジャーナルを目指しましょう。
インパクトファクターが高いから良いジャーナルではない
インパクトファクターが高い=質の良いジャーナルとはなりません。
インパクトファクターは「過去2年の記事の総引用数÷過去2年の掲載論文数」で求められます。
つまり、他の学術雑誌からの引用数が多いほど、インパクトファクターの値が上がります。
しかし、その引用がどのように行われたのかは、インパクトファクターだけで求めることはできません。
自分の論文内で引用するだけでも引用数は増えますので、インパクトファクターは上がります。
以上のことから、インパクトファクターが高いだけで、そのジャーナルが良い質なのかどうかを見極めるのは難しいです。
インパクトファクターを意識する際は、上記について注意しながら指標を決めた方が良いでしょう。
まとめ:医学部教授になるためにはインパクトファクターの高い雑誌に論文を掲載させる必要がある!
医学部教授になるためには、なによりも研究での成果が求められます。
良い医師であることも重要ではありますが、良い医師を数値化することはとても困難。
そのため、誰もがわかりやすく判断できるために、論文や手術などの実績の開示が求められます。
もちろん、功績以外にも人間性などが教授選の選考において大切な項目にもなるでしょう。
しかしながら、論文の実績が最も大切な項目だといえます。
医学部教授になるための最低条件は以下の2つです。
- インパクトファクターが最低でも20以上
- 発表論文数120本程度
医学部教授は大学内で最も権威ある存在です。
しかし、医学部教授になるためには様々な努力を行わなければいけません。
非常に大変なポストであることがわかりますね。
医学部の教授になるには価値のある論文を出すことが大切!
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