→相談できる転職サイトへ登録はこちら←

【悲惨】文系博士の末路は無職? 博士号取れないならキャリア変更の選択も

人文研究者の仕事

文系研究者を目指している人にとって、将来の就職はとても大きな問題ですよね。漠然とした不安を感じてしまい、なんだか眠れない・・・という人もいることでしょう。

実際、文系で博士課程に進学したあと、うまく大学教員になれる人は多くはないのです。
では、博士課程修了者はどんな就職をしているのでしょうか?
そもそも、博士号は無事に取れるのでしょうか?

この記事では、文系博士の就職に関するデータを紹介しながら、就職や博士号取得の厳しさについて考えていきます。

文系博士課程進学者のその後

最初に、こんな話をしましょう。

「博士が100人いるむら」

「博士が100人いるむら」という創作童話を知っていますか?
博士課程に進学する人は一度は目にしたことがあるかもしれません。そして、内容に背筋がゾッとした人もいるかもしれません。

「博士」が100人いる村があると想定し、その100人の進路、あるいは末路をわかりやすく伝えているストーリーです。

これによると、大学教員になるのは100人中たったの14人だそうです。
ただし、文系に限った話ではなく、100人のうち16名は医師という計算です。

また、ポスドクに就く人が20人とのことでした。文系ではポスドク職は多くないので、文系だけで考えると少し違う数字が出てくると予想されます。

最終的に、企業勤務、公務員、他分野に進む人など、何らかの形で仕事に就く人を合計すると100人中76人となっています。

では、残りの24人はどうなったかというと、なんと16人が無職、8人が行方不明または死亡、だそうです。この末路は「悲惨」以外に言いようがありません・・・。

博士の悲しさが凝縮されたお話でした。

では、本当にこのような数字なのか、実際の就職率のデータを見てみましょう。

文系博士の就職率データ

博士課程修了者の就職率のデータは、毎年文部科学省でまとめられています。

令和元年度の学校基本調査に、以下のようなデータがありました。

図1:引用元 博士課程修了者の主な進路状況

これを見ると、就職率は69.0%です。なお、この就職率には一時的な仕事(雇用契約が一年未満、あるいは週労働時間が30時間未満の仕事)に就いた人は含みません。

もし一時的な仕事に就いた人も含めるなら、平成31年の数値で74.4%となります。
「博士が100人いるむら」と同じような数字になりますね。

次に、分野別の就職率を見てみたいと思います。

図:引用元 分野別修了者の進路状況

これを見ると、何らかの仕事に就けている人は人文科学では50%程度、社会科学では60%程度と、先ほどの74.4%という数字を明らかに下回っています。

特に人文科学では正規の職員である割合がかなり低く、5人に1人という状況です。
それ以外の人の多くが、いわゆる「高学歴ワーキングプア」という状態になってしまいます。このデータもなかなかに悲惨ですね。

ところで、先ほどの2つのグラフでは「修了者」という表現がありましたが、これは博士号を取得した人だけでなく、学位未取得の状態で満期退学した人が含まれています。
ということで、もう1つ押さえておかなければならない点が、博士号の取得状況です。

文系の博士号取得状況

文系の博士課程進学者は、博士号が取れるのかどうか、というところも気になっていると思います。

早速、データを見ていきましょう!

博士号取得率データ

博士号の学位を取っている割合について、少し古いのですが平成22年度に行われた「博士課程修了者の進路実態に関する調査研究」を見てみます。

図3:引用元 学位の取得状況

分野別の博士課程の学位取得者の割合が示されていますが、人文・社会・教育で低くなっています。
人文系では実に4割にとどまっています。

文系、特に人文系では博士論文を書き上げるのに非常に時間がかかると考えられており、3年間で博士号を取得する人は少ない状況です。

しかし、年限を超えて在籍していても学費がかかってしまうため、休学をはさんで学費を節約しながら研究を進め、年限に至った時点で満期退学する、という戦略がまま見られます。

では、博士号未取得で満期退学した場合、どのような進路に進むのでしょうか。

博士号があった方が就職につながる!

当然と言えば当然なのですが、博士号があった方が就職状況は良くなっています。先ほどの調査結果の続きを確認してみましょう。

図4:引用元 学位を取得した者の進路状況

図5:引用元 学位を取得していない者の進路状況

これは一目瞭然ですね。
博士号を取得した人たちの方が、就職したりポスドクになったりしている割合が明らかに高いです。

一方で、博士号を取得していない人たちにおいては、非常勤職員、非常勤研究員、非常勤講師の割合が高いですね。そしてなんと「不明者」が圧倒的に多くなっています。

ただし、これは文系・理系をあわせた数字ですので、先ほどまでの流れから考えても、文系の状況がすこぶる悪いことは想像に難くありません。

文系研究者が博士号を取得できないとき

文系の博士課程に進んだあと、満期退学後でもがんばって学位が取得できればよいのですが、残念ながらそうならないケースもあります。

例えば、単純に本人が良い結果を出せない、博士論文の審査を受ける条件を満たせない、病気になってしまい研究が進められない、などの院生自身に要因があることがあります。

あるいは、教員が非常に厳しくなかなかOKを出さない、アカハラを受けている、在籍中に教員が定年や不祥事で研究室異動する羽目になったが異動先の教員の指導が不十分である、など、教員側に要因があることもあります。

そのような場合、どうすればよいのでしょうか?

可能性のある院に入り直す

これは金銭的な余裕とも関わってきますが、研究環境がよく、これまでに博士号取得者(かつ就職者)が多数輩出されているところへ移る、という方法があります。

在籍中に、「この研究室にいては学位も取得できずに路頭に迷うかもしれない」と危機感を抱くようなことがあれば、早めに見切りをつけて移ってしまうのが得策であると考えます。

学費が捻出できないのならば、一度退学してしまい、1~2年の間とにかく稼いでから院に入り直しても良いと思います。
文系の博士課程には、年齢を重ねた人も多く在籍しています。1~2年くらいであればタイムロスにはならないと言ってよいのではないでしょうか。

キャリアの変更

これは勇気のいる決断ですが、思い切って研究職を諦め、キャリアを変更するという選択も必要かもしれません。

博士号取得が難しく、就職もままならない場合、一刻も早く状況を打開する必要があります。

私の知っている範囲でも、完全に他分野の仕事を始めた人もいますし、研究に関わりのある出版業界などに就職した人、公務員になった人、NPOに就職した人、などキャリア変更をして充実した人生を歩んでいる人が何人かいます。

経済的に苦しい中でも研究できることが幸せだと感じるならばよいかもしれませんが、そのまま同じ生活を続けていると、身体的にも精神的にも不調をきたす可能性があります。悲惨な末路を避けるためには、キャリアの変更を視野に入れた方が安全でしょう。

文系研究者の就職と博士号取得まとめ

  • 文系の博士課程修了者の就職率は5~6割である。
  • その中で正規雇用される者はかなり少なく、「高学歴ワーキングプア」が生み出されている。
  • 文系では博士号の学位取得割合も低い。
  • 当然ながら、博士号があった方がないよりも就職は良い。
  • 博士号が取れない場合は、他の院に入り直すか、キャリアを変更するか。

改めて、文系博士の置かれている状況の厳しさを目の当たりにしました。就職や博士号取得に困難がある場合、他分野に目を向けてみることも必要かもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました