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基礎医学研究者のキャリアパスと民間企業への転職について

医学研究者・医学部教員の転職

「大学院を卒業してポスドクになったけど、任期付きなので将来が不安」

「研究は続けたいけど、オンオフのない生活に疲れた」

研究者になりたくてキャリアを積んできたにもかかわらず、アカデミアで働き続けることに不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

今回は、基礎医学研究者のアカデミア中心のキャリアパスから、最近注目されつつある民間企業への転職などの実際について解説していきます。

基礎医学研究者になるまで

基礎医学研究者になるまでの過程を医学部・医学部以外の場合で解説します。

  • 理学部・工学部などの医学部以外の学部の場合
    医学研究に関連した研究室に所属→大学院修士課程へ
  • 医学部の場合医学部卒業後、博士課程へ博士号取得を目指す。取得条件は各大学によって様々

詳しく解説していきますね!

理学部、工学部などの医学部以外の学部に入学した場合

多くは3回生の研究室配属などで医学研究に関連した研究室に所属して研究を開始し、卒業論文を書くことになると思います。

その後、卒業と同時に大学院修士課程に入学し、2年で修士論文を書き修士号の取得を目指します。このとき所属する研究室で医学研究を扱うことが一般的です。所属する研究室自体は医学部内の研究室である場合と、医学研究を行う他の学部の場合があります。

医学部卒業生の場合

医学部卒業生の場合、医学部卒業の際に学士の学位を取得しますが、修士課程をスキップして博士課程に進むことができます。ストレートに行けば、理学部や工学部などの卒業生と同じ年齢で博士課程に入学できますが、一般的に他学部の卒業生の方が研究室配属期間や修士課程で研究に専念する時間が多く、修士論文の作成も経験していますので、ややハンデがあるかなという感じです。

博士号取得を目指す。取得条件は各大学によって様々

大学院博士課程では博士号取得を目指しますが、取得の要件は各大学によって様々です。筆頭論文が5報必要、インパクトファクターが10以上の論文掲載など厳し目のものから、学内雑誌に掲載される論文を書けば良い場合もあります。

各講座の教授や、研究科の教授会が決めている場合が多いので、研究室を決める際に在籍生や卒業生から情報収集を行うのがよいでしょう。

基礎医学研究者としてアカデミアへ進むと

無事に大学院博士課程を修了し、博士号を取得し、その後研究者として研究を続けていく場合、「ポスドク=博士研究員」と呼ばれる身分になる場合が多いです。卒業後ストレートに博士大学院に進学すると、30歳前後だと思いますが、それまでずっと学費を払い続けていた生活から、やっと給料のもらえる生活になります。

ポスドクになると何ができる?

ポスドクになると、自身で研究をデザインして施行できると見なされ、科研費などの研究費の申請も行うことができます。その一方で、任期付きのことが多く、その施設で3〜5年すると自動的に解雇となってしまい、再任してもらうか他の職を探す必要があります。

ボーナスや退職金もなく、福利厚生の点でも恵まれてはいません。時間外労働も膨大になりがちにもかかわらず、残業代の出ない場合が多いです。

ポスドクの次のステップは「正規の教員」

ポスドクの次のステップとしては、大学の助教など正規の教員を目指すことになります。逆に言うと、正規の教員になれない限りはずっとポスドクとして不安定で福利厚生のない期間を過ごすことになります。

正規の教員になるには、論文などの研究実績に加えて、コネや運も必要になってくるため、なかなかポスドクから抜け出せない人も少なくはないようです。

研究は続けていきたいけど、ポスドクの待遇を長く続けていくのが大変・・・そういった場合に選択肢に上がってくるのが、企業への就職です。

基礎医学研究者としての企業就職

アカデミアで研究者として進んでいくキャリア以外に、医学研究者の選択肢に上がってくるのが企業就職。

製薬企業が有名ですが、他にも検査会社、ベンチャー企業、治験を取り扱うCROなどの研究に関連した業務を行う場合と、全く研究に関連しない医療系の会社などに通常の会社員として就職する場合があります。

企業就職のメリットは「安定性」

企業就職の良い点は、なんといっても「安定性」でしょう。一旦正社員になると雇用が安定し、余程のことがないとクビにはなりません。数年おきに転職活動を行う必要もありません。

また、勤務時間がはっきりと定められているために、アカデミアよりは勤務時間も長くはないようです。

さらに、ボーナスや退職金などの福利厚生もしっかりしているため、労働条件は格段に良いと言えるでしょう。

企業就職のデメリットは「研究の自由度」が狭まること

企業就職の不利な点は研究の自由度にあります。その時世でのトレンドをある程度反映した研究で利益を見込むため、物にならないと判断されるとそれまでやっていた研究テーマがボツになったりします。

アカデミアの方が、結果が出るのに10年以上かかるような、より長いスパンで続ける研究を行える傾向にあるようです。

社内で異動があると、必ずしも研究にダイレクトに携われる立場に残れない可能性があることも不利でしょうか。

アカデミアと企業就職の違い

ここまでの内容をまとめると以下のようになります。

  アカデミア 企業
雇用 任期付き 基本的に終身
給与 低い(特にポスドク) 高い
福利厚生 乏しい 充実
労働時間 長い 短い
研究内容の自由度 高い 低い
研究テーマの期間 長い 短い

あくまで研究の自由度を求めるのであればアカデミアですが、雇用の安定や労働条件を考えるのであれば企業就職も選択肢に入ってくるのではないでしょうか。

企業就職するには


気になる企業への就職ですが、研究者として採用されるためには、自前で研究をデザインできる博士号取得が一つの用件と考えられることが多いようです。博士号取得後そのまま企業に就職する場合もあれば、ポスドクを経て就職する場合もあるようです。

実際に応募する際には、一般向けに出ている募集に応募したり、研究者の知り合いで企業就職した先輩などに話を聞くのが良いでしょう。いろいろな研究室を渡り歩いて知り合いを増やしたり、共同研究先の先生と日頃から情報交換をしておくのも役に立ちそうです。

また、会社での勤務となりますので、基本的なコミュニケーション能力が必要とされる点は就職に当たって重要になってきます。

まとめ


今回は、基礎医学研究者のキャリアについて、アカデミアでの活動と企業への就職について解説しました。

営利に捉われない自由な研究ができるアカデミアも魅力的ですが、生活の安定やライフプランを考えて、企業への就職を考えて見るのもアリです。是非身近に企業就職者がいれば、話を聞いてみることをお勧めします。

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