- 「ポスドクになったけど、来年のポストがない…。」
- 「大学のポストに空きがないから、一般企業に転職したい。」
- 「でも、ポスドクから転職するのってむずかしい?」
こんな悩みを抱えるポスドク・研究員は多いのではないでしょうか。
悲しい現実ですが、断言します。
ポスドクの転職はむずかしいです!
しかし、ポスドクの転職がむずかしいのには理由があります。
この記事では、転職がむずかしい理由からそれを乗り越えるために必要な準備、履歴書・職務経歴書の書き方まで丁寧に解説していきます。
ぜひ参考にしてくださいね。
ポスドクの転職がむずかしい理由とは
冒頭にもお話ししましたが、ポスドクの転職はむずかしいです。
その理由は、
企業は既卒者に対して、「即戦力」を求めているからです!
つまり、「ある分野」の「ある業務」を「すぐに」行える人が求められます。
よって、
- 求人数が少ない
- 求められる技術や経験が狭く限られる
- 実務経験が求められる
ので、「分野が合わない」可能性があり、「実務経験が少ない」ポスドクには転職が難しくなります。
これらの困難を乗り越えるためには、入念な準備が必要になります。
これから説明するので一緒に準備していきましょう。
ポスドクの方には、並外れた研究力があるので心配いりません!
ポスドクの転職活動の流れ
まずは、転職活動における流れを説明します
①転職エージェントへの登録
②応募・書類審査
- 企業研究
- 履歴書・職務経歴書
③面接・内定
転職する時期にもよりますが、平均的に1~2か月程度をみて行動するようにしましょう。
次は、転職活動の中で重要なポイントを紹介・履歴書の詳しい書き方についても解説していきます。
転職エージェントへの登録は「特化型」がおすすめ
まずは、転職エージェントに登録しましょう。
有名なものでは、
- リクルートエージェント
- dodaエージェント
- マイナビエージェント
- パソナキャリア
- アカリク
などがあります。
これらは総合型の転職エージェントですが、いきたい業界や職種が決まっている場合は特化型のエージェントを利用するといいでしょう。
特に、アカリクはキャリアアドバイザーのほとんどが修士卒・博士卒なので、これまで行ったきた研究への理解があり、自分の専門分野や希望に合った企業を紹介してくれます。
登録後にエージェントと面談を行い、希望や研究内容によって求人情報を出してもらいます。
☆ポイント☆ エージェントによって合う合わないがあるので、2~3個のエージェントに登録しておくといいでしょう。
転職のための応募・書類審査の準備で必ずやっておきたいこと
提案された求人情報から、応募する企業を決めます。書類審査に向けて、履歴書や職務経歴書の準備を進めていきますが、これらを書く前に必ず企業研究をしましょう。
転職では企業研究、特に「職種」研究が重要。
職種研究の目標は、「入社後に行う仕事内容を具体的に理解する」ことです。転職では即戦力が求められると言いましたが、「どの分野」の「どの業務」を行うかを知る必要があります。
会社HPや口コミだけでなく知人や人事部からの紹介など,できるだけ生の声を集めるようにしましょう。仕事内容を調べ、理解を深めることで、会社への志望度や自身のアピールポイントを強めることができます。
筆者の場合、機械系で博士(工学)の学位を取得しましたが、機械力学・振動学・微細加工技術を専門としており、実験を主に行ってきました。
目に見えないようなデバイスの設計・作製やナノ振動の計測を得意としていますが、パイプやエンジンの設計、シミュレーションなどが求められる仕事内容では、即戦力にはなれず、会社にとって雇うメリットはありません。
履歴書や面接でも、自分の強みや技術をアピールできず、不採用通知が届きます。
☆ポイント☆ 「何を得意としているか」と「入社後に何をするか」が合致しているか徹底的に調べましょう。
ポスドクが転職するための履歴書・職務経歴書の書き方
いよいよ履歴書や職務経歴書を書いていきます。書く項目別にポイントをまとめているのでぜひ参考にしてください。
まず、履歴書の基本的な形式は、次の通りです。
項目 | ポイント |
日付 | 履歴書を郵送した日、持参する日を書こう |
本人情報
(名前、生年月日、住所、電話番号、写真) |
写真は第一印象を決めるので、次のポイントをおさえよう
|
学歴 | 高校卒業から記載し、留学経験があれば留学先と期間を合わせて書こう |
職歴 | 職務経歴書とつながるように書こう |
資格 | 国家資格や公的資格のみ書こう
発行団体が明確であれば記載してもいいですが、仕事内容に関係ないものは逆効果となるので注意! |
志望動機 | その会社を志望する理由、その業種を志望する理由、自身の技術をどのように活かすかを順にまとめよう
専門分野やこれまでの経験、趣味などと絡めながらまとめられるとGood! |
趣味・特技 | 長く継続してきたものや数字として成果のわかるものは好印象!
また、趣味や特技は話のつかみに使われることが多いため、会話が弾むように準備しておくことが重要! |
その他
(家族情報、通勤時間、希望の手当など) |
できるだけ企業の提案に沿うようにし、わがままは言いすぎないように |
次に、職務経歴書の書き方をみていきましょう。
職務要約
☆ポイント☆ 簡単な経歴をまとめます。担当したプロジェクトや成功したこと、その手法を書くといいですが、職種や仕事内容に関連するものに絞るといいでしょう。
(記入例)〇〇年△△月~□□年〇〇月 △△大学〇〇研究科△△グループ
研究テーマ:□□
業績:学会発表○○件、原著論文△△報
【研究概要】
□□の開発に向けた基礎研究として、○○の検証を行ってきた。△△が技術的な困難となるが、□□を用いることにより、〇〇を達成した。
職務経歴
☆ポイント☆ 困難がなにか、どのように突破したかが能力の評価につながります。実務経験が少ないことがポスドクの短所ですが、プロジェクトにおける役割を明示することでカバーすることができます。獲得した予算など定量的に評価できる成果も積極的に書きましょう。
また、応用を見据えられているか、自身の研究が商品化できるかを考えられていると企業での活躍が期待されます。
- 専門分野(機械力学、材料力学など)
- 使える装置(顕微鏡、計測機器など)
- 使えるソフトウェア(Wordなど)
- 使えるプログラム言語(Pythonなど)
資格・スキル
☆ポイント☆ 使える装置を会社が保有していると即戦力につながります。また、Microsoft Officeで基本的な作業はできるようにしておき、スキル欄に記載しましょう。
英語能力がある場合は、TOEICやTOEFLのスコア、どの程度の会話(日常生活、専門的な内容など)や執筆(メール、マニュアル、論文など)が可能かを具体的に書きましょう。
(記入例)
○○のソフトウェアを用いて実験を自動化し、これまでに比べて△△倍の効率で計測できるようにしました。
○○のプロジェクトを通して異分野の研究者と交流することがありました。一般企業での就業経験はありませんが、グループで成果を挙げる経験を活かして、△△の業務を遂行します。
自己PR
☆ポイント☆ 研究を通して得られた専門以外の能力をアピールしましょう。
計測の自動化や実験の効率化、リーダーシップ、コミュニケーション能力などは評価が高くなります。
研究職・一般企業との面接に向けた事前準備はしっかりと
書類審査を突破すると、いよいよ面接です。面接でも注意すべき点はたくさんあるので、説明していきますね。
また、最近はWebで面接を行うことも増えているので、それも加えて説明します。
事前準備
面接では履歴書や職務経歴書をもとに話が進められます。
書いたことは暗記しておき、「書いた内容とつじつまが合わない」なんてことがないようにしましょう。
特に学歴や職歴に空白の期間がある場合は、不信感を持たれないように理由を準備しておくといいでしょう。
みだしなみ、服装
「見た目で判断するなんて!」と思う方もいるかもしれませんが、見た目も大事な判断材料です。イケメンや美人である必要はありませんが、清潔感のあるみだしなみをこころがけましょう。
髪型や爪、ひげは簡単に手入れができますし、印象がガラッと変わります。
面接のときには、念のために手鏡やティッシュ、ヘアブラシなどを持っていくのもいいと思います。
面接の服装は、基本的にスーツです。
Web面接の場合でも、スーツを着るようにしましょう。
事前にクリーニングへ出しておき、汚れがしわがない状態にしておいてください。
Web面接の準備
面接に使用するソフトウェア(Zoom、Skype、Webexなど)はインストールしておきましょう。
また、カメラの角度や明るさ、周囲の音に配慮し、印象が悪くならないよう事前にテストしておくとなお良いですね。
面接が終われば、採用通知を待つだけとなります。
採用されたら会社の指示に従って手続きを進めましょう。
不採用であれば、応募から始めることになりますが、転職エージェントを変えることからやり直すのも一つの選択肢です。
まとめ
この記事では、ポスドクの転職方法について紹介しました。
- ポスドクの転職はむずかしい!成功するには準備が必要!
- 転職がむずかしい理由を理解しよう
- 転職活動の流れをつかんでイメージをつかんでおこう
転職エージェントに登録→企業研究→履歴書・職務経歴書の準備→面接
- 企業研究で「できること」と「やりたいこと」を密着させよう
- 職務経歴書には自分の強みを盛り込んで!
ポスドクの転職はむずかしいことですが、その経験やスキルを評価してくれる会社もたくさんあります。
自分の希望する企業に転職するためには入念な準備が必要となるので、この記事を参考にして、転職活動を成功させてください!
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