最近では女性研究者の割合も高まってきました。
しかし同時に、女性としてのライフイベントを経験する上での困難が指摘されています。
妊娠、出産、育児といったライフイベントとキャリアを両立させることが難しくなり、どちらかを諦めてしまうこともあります。
女性がポスドクという不安定な立場にあればなおさらです。
そこで、この記事では、女性ポスドクが経験する困難について具体的に解説し、それらを乗り越える方法を考えます!
女性ポスドクの困難とは?
まず、女性ポスドクならではの困難を挙げます。
妊娠・出産に踏み出せない
学部から大学院修士、博士とストレートで卒業した場合、27歳あたりで博士号を取得することになります。
ここから専任に就けるまでの間、ポスドクと呼ばれる状態になるわけですが、女性の場合、ちょうどこの20代後半~30代前半が妊娠・出産の適齢期にあたります。
でも、もしこの期間に妊娠・出産をすれば、研究がストップしてしまう、業績が上げられなくなる・・・。
これにより、肉体的には適齢である妊娠・出産を諦めてしまいます。
産休・育休が取れない
希望通りに妊娠できても、ポスドクの立場では育休が取れないことが多いです。
「産休」「育休」ではなく、単なる無給の休みということになってしまいます。
科学技術政策研究所がポスドクを対象に行った調査では、育休を「取得を希望したが、取得できなかった」人がおり、その理由として最も多く挙げられたものが「ポスドクは育休取得の資格がない」というものでした。(参考:文部科学省 科学技術・学術政策研究所ライブラリ)
ポスドクを対象とした人事規定の中で、育休が保障されていないのです。
育児に十分な経済状況にない
子どもを育てるには、学費・教育費がかなり必要になります。
パートナーに十分な収入があり、かつ扶養してもらえるならば問題ありませんが、二馬力でなければ家計が成り立たない場合はその後の育児が厳しくなります。
専任教員に就けるかどうかわからない、次の契約更新が保障されていないという状況での育児は、経済的な問題が発生します。
では、こうした困難はどのように乗り越えればよいのでしょうか。
女性ポスドクの困難の乗り越え方:キャリア継続
まずは、経済状況に心配がなく、純粋にキャリアと出産・育児の両立が問題である場合にはキャリアを継続することも可能です。
計画的な妊娠をする
なかなか難しいことですが、計画的な妊娠・出産を目指します。
プロジェクトに従事する研究員の場合、あらかじめ研究の繁忙期を確認し、それを避けて出産ができるように調整します。
そして、出産は計画分娩を選択し、繁忙期が終わった時にすぐ出産できるよう準備をします。
非常勤講師の場合は、出産が休暇中にあたるようにします。
あるいは集中講義にしたり、産休中だけ交代要員を雇うことを願い出る方法もあります。
これらが計画通りに進めば、職場に大きな支障はきたさずに済ませることができます。
ただし、これは妊娠に際して支障がなかった場合、そして妊娠中もトラブルがなかった場合に限ります。
ふだん健康であってもすぐに妊娠できるとは限らない、また妊娠中にずっと問題なく過ごせるとは限らない、という点にはご注意ください。
周囲のサポートを得る
妊娠・出産よりも大変なのは育児です。
産後の体を回復させながら育児をするのはかなり大変で、早く回復できればその分早く仕事をする態勢に戻ることができます。
そのためには、周囲のサポートを得るのがおすすめです。
- パートナーが育休を取れる環境ならば取ってもらう
- 育休が取れなくても在宅ワークをしてもらう
- 実家の親に手伝ってもらう
- 家事や育児について、自治体のサポートを活用する
研究者は周囲に頼ることが上手でない人が多いですが、自身と子どもの健康のために頼ることも、キャリアの断絶を防ぐために頼ることも、決して悪いことではありません。
パートナーや親からの理解を得て、助けてもらえるといいですね。
女性ポスドクの困難の乗り越え方:民間へ転職
経済的な問題がある場合は、民間への転職という選択肢をおすすめします。
民間で正社員になれば育休も取れる
民間企業へ転職して正社員になれば、まずは経済的な不安から解放されます。
そして、育休を取ることもできます。
ただし、転職後1年未満は育休が取れないというのは、大学だけでなく多くの企業にも見られるルールです。
ポスドク期間を経て専任教員になれる確率よりも、民間に転職して正社員になれる確率の方が高いでしょう。
転職エージェントを利用して、女性に理解のある職場を選べるのが理想です。
転職のためのスキルアップ
とはいっても、すぐに民間への転職が成功するわけではありません。
自分の専門を生かした職がなかなか見つからないという場合は、スキルアップのために資格取得をするのがおすすめです。
例えば、
- オンラインのプログラミングスクールを受講し、資格を取る
- 簿記やFPなどお金に関する勉強をして資格を取る
- TOEICやTOEFLを受けておく
などがつぶしが利きます。
40代ポスドクの未経験転職まとめ
- 女性ポスドクには出産・育児にともなう困難が大きい。
- 出産・育児とキャリアの両立でどちらかを諦めてしまう、育休が取れない、経済的不安が払拭されない。
- キャリア継続のためには、計画的に妊娠し、周囲のサポートを得るのがおすすめ。
- 経済的な不安がある場合は、女性に理解のある民間企業に転職するのがおすすめ。
子どもが欲しい場合、まずはパートナーと十分に話し合いましょう。
子どもを望む誰もが、出産・育児とキャリアの両立に困らない社会になることを祈ります。
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