「上司の暴言や高圧的な態度でうつ病に…」
「セクハラやパワハラを受けて仕事をやめた…」
このようなニュースを聞く機会が多くなってきたと思いませんか?
最近では、会社での上下関係の問題が、
- パワーハラスメント(パワハラ)
- セクシャルハラスメント(セクハラ)
- お酒の強要(アルコールハラスメント、アルハラ)
- 不快な匂い(スメルハラスメント、スメハラ)
などハラスメントとして認識されるようになってきました。
これらは会社や職場に限った話ではなく、大学(アカデミックハラスメント、アカハラ)などさまざまなコミュニティにおけるハラスメントが表ざたになっています。
この記事では、研究者における人間関係やアカハラにスポットを当て、その原因と対処法を紹介します。
面倒な上下関係やアカハラが生まれる理由は?
研究者の人間関係は、すべてが悪いというわけではありません。
実際、私は尊敬する先生に出会ったことが転機となり、研究者の道を目指しました。
ただ、上下関係がはっきりしているため、よくないところも多いようです。
このような関係やアカハラが生まれるのは、
- 立場間の格差が大きい
- 考え方や価値観が変わった
- 大学の管理体制がまだまだ不十分
という理由からきていると考えられます。
立場間の格差が大きい
教授や准教授になると、大型のプロジェクトをとったり指導する学生が増えたりと研究内容や人事などに関する決定権が大きくなります。
また、本来であれば教授が行う業務を助教や研究員に押し付けられることも増えていきます。
そのため、泣き寝入りして耐える、精神的に病んでいくという状況に陥ります。
考え方や価値観が変わった
現在教授をしている人たちの時代では、ハラスメントにあたることが当たり前のように行われていたと聞きます。
一方、現代ではハラスメント相談室が発足したりニュースで流れていたりとハラスメントの認識に対して大きく変わりました。
その変化についていけていない教授の先生たちは、現在でもハラスメントを行い、助教や研究員に肉体的・精神的に負荷をかけることになります。
大学の管理体制がまだまだ不十分
教授の権利は大学内でも大きく、大学本部としても教授への指導が難しいという側面があります。
研究室ごとに運営体制は大きく異なり、干渉することはないため、問題浄化力が低い傾向にあります。
私が所属している専攻でも、他の研究室の体制は全く知らず、問題が起きた際に浮き彫りになるのが現状です。
3年にわたる私のアカハラ体験
私は4年間大学の研究室に在籍しており、そのうち3年間ハラスメントを受けてきました。
その中で私が受けた体験談を紹介します。
- 雑用の押し付け 「あれもこれもやっといて」
- 今ですか? 学会発表2日前に研究のやり直し
- インターンシップの許可を出さない 「そんな時間ないでしょ?」
- いつ終わるの? 3~5時間にわたる指導
- 罵倒や誹謗中傷 「君には研究の才能がないよ」
私以外にもハラスメントを受けていた職員や学生はたくさんいたため、辞職した先生や退学した学生もいました。
一つずつ詳しくお話していきますね。
雑用の押し付け 「あれもこれもやっといて」
よくあることですが、自分の業務に関係ないことを押し付けられます。
私の場合は、教授が授業や学会発表で使うスライドの作成を命じられました。
これらの作成には最低でも1日はかかり、修正作業も含めると1週間近く時間を割くことになります。
その間、実験や解析をすることができず、自分の研究が止まってしまいます。
よく「君の勉強になるから」なんてことも言われましたが、決して免罪符になりません!
他にも、HPの管理ややる気のない学生の指導を任され、研究成果を思うように出すことができませんでした。
今ですか? 学会発表2日前に実験のやり直し
ある年に、海外で学会発表をする機会がありました。
初めて海外で発表するということもあり、入念な準備を進めていました。
しかし、出発日の2日前に発表内容の変更を命じられました。
それによって決まる実験のやり直し…。
結果が出るかもわからない、発表に間に合うかわからないという不安と結果を出せという圧で精神的に大変な経験をしました。
インターンシップの許可を出さない 「そんな時間ないでしょ?」
学生が希望するインターンシップの中には、指導教官の許可が必要なものがありました。
先生にその旨を伝え、許可をいただこうとすると、
- 「研究する時間が減るじゃないか」
- 「その間、成果が出ないけどどうするの?」
- 「今の研究に関係ないけど、インターンシップに行って意味があるの?」
と言われ、結局許可が出ませんでした。
いつ終わるの?3~5時間にわたる指導
毎日のように部屋に呼び出され、指導という名目の雑談がありました。
短いときは1時間ほどで終わりますが、午前中に呼び出され、お昼休憩をはさんで午後からもう一度なんてこともありました。
次の日には新しい結果を求められ、何もできていなければ怒られることもありました。
罵倒や誹謗中傷 「君には研究の才能がないよ」
このような状況の中でも、必死に研究に取り組んでいました。
しかし、その努力は一向に報われず、「君には研究の才能がない」「君に説明しても何もわからないようだ」「私と比べたら君はほこりのような存在だ」などの罵倒を日々受けていました。
アカハラからどうやって抜け出せたか?
3年間にわたりアカハラを受けてきましたが、現在は無事に解消され、ストレスなく研究活動をすることができています。
私の場合、研究室内で同様のハラスメントを受けている人がいたため、協力しながら対処することができました。
人間関係やアカハラはどう対処すべき?
アカハラの対処法を3つ紹介します。
- 同じ境遇の人、理解ある人を探す
- ハラスメント相談室に行く
- ハラスメントの内容を録音や記録する
昔は相談できるところがなかった分、現代は安心して相談できる環境が整っています。
詳しく解説していきますね。
同じ境遇の人、理解ある人を探す
まずは、同じような悩みを抱えている人が近くにいないか探しましょう。
お互いのハラスメントを共有することで精神的に楽になります。
また、一人では対処することが難しい場合でも、複数人いることで協力しながら問題を解決することができます。
ハラスメント相談室に行く
多くの大学には、ハラスメント相談室やなんでも相談室があります。
私もそうでしたが、一人で相談室に行くことは難しいと思います。
そこで、同じ境遇の人と一緒にハラスメント相談室に行き、どのようなハラスメントを受けているかを報告しましょう。
また、複数人で行くことで事例が増えるため、相談員の方も積極的に動いてくれます。
ハラスメントの内容を録音や記録する
言われたことや、やられたことは、日記やテープレコーダーなどで必ず記録し、証拠を残しましょう。
そうすることで、相談員の方に「相談する側にも問題があるのでは?」と疑われることもありません。
うまくいけば、証拠として認められ、部局長や人事部長を含めた特別委員会が設立されることもあるため、指導教員に対して長期にわたる指導がされることでしょう。
まとめ
この記事では、研究者の人間関係・アカハラ問題について紹介しました。
- 教授の決定権が大きい、時代の変化、大学の管理体制によってアカハラが生じる
- 筆者も雑用の押し付けや罵詈雑言などのアカデミックハラスメントを体験した
- 一人で悩まず、まずは相談室に行くなど、対策はたくさんある
私の体験談は、氷山の一角に過ぎず、私よりもひどいハラスメントを受けている人もたくさんいると思います。
この記事が、アカハラで悩んでいる人たちの助けになれば幸いです。
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